いよいよ待ちに待ったDOOM3(ドゥーム3/ドーム3)が発売になりました。と言っても私は実を言うとDOOM3のことは完全に忘れていて、なぜか今頃AVP2(エイリアンVSプレデター2)をプレイしていたのですが、丁度海兵隊編をクリアした頃になって、遅れていたDOOM3の発売日が8月7日になったということを聞きつけて急遽入手してきました。

時は22世紀、舞台は火星、プレイヤーは屈強な海兵隊員ということで、DOOMシリーズの設定をそのまま継承しています。しかも継承しているのはそれだけではなく、例えばキー設定のシンプルさやゲームの展開など、全体的に驚くほどDOOMシリーズの伝統が生かされています。ドラム缶もたくさん転がっていますし、武器や弾の数、ヘルスの位置なども良心的で、どこでもセーブできることに加え、ステージ冒頭ではオートセーブもしてくれます。そして全体的には複雑な謎解きをほとんど必要としない進行もシリーズの伝統そのもの。これは考えてみると結構凄いことだと言えるのではないでしょうか。

ただし全然違っているのは当然のようにグラフィックの方で、路線的にはQUAKE(クエーク)シリーズ系ですが、光の効果を徹底した繊細さと美麗さの点ではUNREAL(アンリアル)シリーズの延長線だと思います。しかしどこまでもSF趣味のUNREALとは違い、DOOM3はほとんどホラー映画の世界観に徹しています。

考えてみればUNREALは敵のキャラクターがどうも変なのばかりで、その点がゲームの質を落としていたような感も否めないのですが、DOOM3はさすがに敵キャラには力が入っているようで、しかも出てくる敵がいちいち夢に出そうな不気味な奴ばかり。特に人間型のは妙にリアルでホラー感たっぷりです。

ちなみにグラフィックが凄いということでマシンへの負担も結構なものです。私はAthlon 2500(2.2GHz)/ Ram736MBのマシンに、グラボは昨年末に購入したRADEON 9800を使っていますが、このRADEONでも「重い」と実感した初めてのゲームとなりました。何しろオープニング・ムービーからして重いので、シューティング・ゲームとしてそこそこ楽しむためにはこのRADEON 9800クラス以上が必要ということかもしれません。

プレファレンスではクオリティーを3段階から選択できるようになっていますが、それで最低を選んでプレイしていても、例えば敵がたくさん出てくる場面などでは露骨にコマ落ちが激しくなってしまいます。ただこのあたりは時代の流れ的にある程度必然的なものでしょうし、仕方ないのかもしれません。

ところでゲームシステム的にはDOOMシリーズを継承していると言いましたが、実は大きく違っている点もあります。その最大のものは画面が真っ暗なことで、プレイヤーは基本アイテムの懐中電灯を常に持っていないと何も見えない場面が多く、下手に足を踏み外したりしてどこかへ落ちると死んでしまったりもするので注意が必要です。しかし懐中電灯を持っていると武器を持てないため、敵が出現したらすぐに武器に持ち替えないとならない、といった煩雑さがプレイヤー操作の基本になっています。

前述のように私は最近までAVP2(エイリアンVSプレデター2)をやっていて、このAVP2の海兵隊編もまたステージはどこも真っ暗ばかりなのですが、それでも武器を持ちながらライトを点灯して進むことができます。ただしライトは一定時間が来ると切れてしまいますが、しばらく消灯するとすぐに充電されて復旧します。つまり時間制限があっても武器と同時に持てるAVP2と、時間制限はないものの武器と同時には持てないDOOM3ということになっていますが、でも両手に持てない、あるいは懐中電灯をどこかに固定できないというのは何かちょっと不自然な感じもしてしまいます。同じ海兵隊員なのに。

そうした不満はともかく、全体としてはDOOMシリーズの雰囲気を現代に復活させた名作だと思います。最近のFPSはマップが広く複雑になった分、どうしても謎解きとかパズル的な操作が必要だったりして、特に英語の語学力を必要とするような仕掛けとかまであると正直疲れてきます。そういうのがお好きな人もいるとは思いますが、しかしDOOMシリーズには本来もっとシンプルで直進的なノリがあり、深く考えずにひたすら前進していくという分かりやすさが特徴でした。それがこのDOOM3でも懸命にも生かされていて、私のようにさほどシューティング系に強くない人でも十分に楽しめます。

DOOMシリーズと言えば、Wolfenstein 3D(ウォルフェンシュタイン3D)に続いてひたすらドアを開いていき、中にはシークレットがあったりもするという動作形態がありましたが、これはQUAKEから自動ドア方式に変更され、今回のDOOM3でもやや残念ながらQUAKE式になりました。ただしステージクリア時のEXITボタンをはじめ、時折何らかの操作をする際には自動的に武器が指先に変更し、マウスクリックでアクションするという現実的な動作になっています。

こうしたシステムのためか、ステージ内では時々何か他のアイテムを操作することができる場合もあります。例えばUFOキャッチャーのようにクレーンを操作してドラム缶を片付けたり、リフトに乗って移動できたりすることができます。

グラフィックと言えば敵が死ぬ際に一瞬骨だけになってからパッと消えたりと、細かい部分での造り込みが徹底されていて驚きました。死んだ敵はすぐに消滅しますが、その際も焼けた灰が吹き飛ぶような非常にリアルな効果になっています。

ただ正直なところ、前DOOMシリーズの流れを継承した結果ということでしょうか、現代的なゲーマーの方にはやや物足りないと感じる部分もあるかと思います。まずゲームの進行が非常に素直過ぎるため、ある意味ワンパターン的な単純さが鼻につく向きもあるでしょう。マップも比較的単調なシーンの繰り返しだし、時々は少しだけ屋外シーン(火星ですが)はあるものの、基本的に真っ暗な基地の中を懐中電灯ひとつで泥棒のように潜入しているだけなので、そうした閉鎖性はDOOMというよりもQUAKEな世界から悪い意味で脱却できていないし、UNREALのように時にハッとさせられるような眺望の美しさにも乏しいと言わざるをえません。

DOOMよりQUAKEに近いという点では「揺れ」の少なさも指摘できるでしょうか。DOOMが社会現象として取り沙汰された話題の一つに、正式な医学用語としても登録されたいわゆる「ドーム酔い」がありましたが、今回復活するかと思われたこの揺れ加減が残念ながらDOOMシリーズほどではなかったようです。そして現時点での最も大きな欠点は余りにも重すぎることでしょう。それがグラフィックの美麗さの代償だということは分かっていても、しかしそれ以上の何かが見えてこない点も確かです。

つまりCPUとグラフィック・ボードの性能がいずれ格段にアップし、ユーザーが購入できたとしても、そこまでしてただ単に「グラフィックが良くなった」というだけでしかない、そんな一抹の空しさを感じさせてしまうものもあります。確かにグラフィックも粗いよりは繊細な方が良いに決まっていますが、しかし高価なマシンやグラボを購入してきてまで、これらゾンビみたいな奴らの顔をリアルに再現する必要が果たしてあるのかと疑問に思ってしまいます。

ただしこれらの欠点を踏まえた上でも、個人的には非常に満足のいく仕上がりだと自信をもって断言できます。というか私はDOOM3のアナウンスに少なからず期待はしていましたが、正直こんなまともな出来になるとは思っていなかったので、良い意味できたいが予想が大きく外れたことが余計に興奮を大きくしています。前DOOMシリーズには1,2の他にも様々なシリーズが乱発されていましたが、本DOOM3もそうした路線でぜひ続編を立て続けに出してもらいたいものですし、もちろんかつてのようにユーザーマップの充実も今から大いに期待したいところです。


http://www.doom3.com/ DOOM3公式サイト(英語)

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