ペインキラーは2004年の初夏の頃、丁度DOOM3の頃に出ていたFPSで、ホラーアクションというジャンル的にもDOOM3と被ってしまっていましたが、実際のゲーム内容や操作感などもよく似ています。系としてはQUAKEシリーズやUnrealなど、いわゆるその方面のFPSの流儀と世界観を継承しているため、これらのゲームに馴染みのある人なら違和感がないでしょうし、作品的にも素直にお薦めできます。

発売時期が近かったDOOM3とはどうしても比較されることになると思いますが、グラフィック感を追及している点ではDOOM3の方が若干勝っているように思います。ですがペインキラーの方はDOOM3ほどの繊細さをさほど感じなかった割りには、ゲーム自体は結構重い印象も持ちました。ただし環境さえ整っていれば苦しむほどの重さではなく、むしろバグなどの細かい問題の方に悩まされることの方が多いでしょうか。例えば突然スローダウンしたり、敵が多すぎるとフリーズしたりする箇所もありましたが、しかしグラフィックをはじめ様々なコントロールなどのシステムをカスタマイズできるので、自分なりに調整すれば心配するほどの問題もないと思います。

聞いたところによるとシリアスサムのエンジンを採用しているとのことで、確かに広大なマップを走り回ることと、敵がやたらと大量に押し寄せてくる「ノリ」のあたりにその血筋を感じます。しかしシリアスサムというとニトロファミリーがあったことを思うと、このペインキラーは言われないと気付かないくらい、いい意味で随分雰囲気が変わっています。ホラー性ではゾンビ集団が相手ということと、墓場や病院跡などが舞台になっている点でもDOOM3のSF的な世界観よりも身近な感じですし、どこからか聞こえてくるうめき声やBGMなどもホラー趣味を高めています。

アクションゲーム、特にFPSの場合には使える武器の善し悪しが大きなポイントとなってきますが、その点でペインキラーは一風変わっています。というのも武器が5種類と少ないことで、それぞれがプライマリとセカンダリの二通りの要素を持っているにしても、やや物足りない感じはするかもしれません。しかしその一方で最初から持っている基本的な武器であり、またタイトルともなっているペインキラーというのが非常に使える武器となっています。シャカシャかという音ともに回転する刃が、向かってくる相手を粉々に切り刻んでしまいます。さらにセカンダリでは果てしなく遠いところまでビームのように伸びていき、遠くにいる相手を攻撃し、そして相手を引き寄せてしまうというアイデア賞もの。これがあれば他は要らないかと思うくらいです。

他の武器としては定番のショットガンもありますが、通常必要となる一回撃つごとの弾の充填作業がないというタイプで、便利ではありますが今一つそれらしい感じがしません。さらにロケット砲やマシンガンもありますが、これらも何か今一つしっくりこない感じがしました。ですがそんな中で一際光っていたのが5段階中の三つ目にあたるSTAKEGUNと呼ばれる独特の武器です。これは木の杭を空気銃方式で撃ち出すというレトロな雰囲気の武器で、離れている敵には当てるのが難しくなりますが、しかし近くにいる相手には非常に有効かつ強力な威力です。個人的にはペインキラーと共に非常に気に入りました。何がどう良いのかを言葉で表現することは難しく、興味のある方はぜひ製品版でもデモ版でもいいですからプレイしていただくことをお勧めします。

ペインキラーは伝統的なシングルプレイに重点を置いたFPSですが、そのマップの舞台は墓場からオペラハウス、さらに古城や軍事基地などと結構バラエティーに富んでいます。そんな中でも印象に残ったのが精神病院(asylum)で、真っ暗な建物の中を懐中電灯の光を頼りに進む様は実に薄気味悪く、敵もこのマップにしか登場しないものばかりで魅力的です。

全体的にひたすら敵を倒して進んでいくタイプの爽快感が強く、その点でもシリアスサムの要素を強く感じさせる内容になっています。アクションゲームやFPSに不慣れな方でも問題なく没入していただける内容だと思います。ただし各ステージでのボス戦はいきなり難易度が高く、普通に戦ってもまったく歯が立たない場合もあります。そんな場合にはネットを探し回って攻略のヒントを得るしかなく、逆にそうした攻略というか種明かしがなければ戦えないほどひねりが効いています。そのあたりがどうも不釣り合いで、どうも不自然な感じがしてなりません。

しかし多少の難点はあるものの、ほとんど何も考えることなく、ただ敵を倒しまくるというコンセプトはDOOM系FPSの血筋とも言えるものですし、全体的には非常に楽しめるソフトであることは確かです。複雑な謎解きや極限的な緊張感に価値観を求める向きにはお薦めできませんが、逆に旧DOOM系の手軽さと爽快感を重視するユーザーには文句無くお薦めできます。ボス戦を除けば各マップで悩んだり行き詰まるような箇所はほとんど無いですし、その意味でもFPSの入門クラスのゲームと言っていいでしょう。

というか最近はこのような難易度の低いゲームが主流になってきているように思いますし、一時期の、恐らくプレイステーションなど家庭用ゲーム機に触発されたかのような難しすぎるゲームが多かった時期の方が異常でした。その件に関する水掛け論を今さらここで再現するつもりはありませんが、一部のベテランゲーマーだけでなく、より多くのユーザーが近づいて来られるような方向性を確保してもらえることを期待しています。そのために妥協すべき部分はハードウエアのスペック(お金で解決できること)ではなく、ゲーム自体の難易度の方が遥に大きなウエイトを占めていると思うからです。


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