P R E Y

久々に硬派な、そしてまともなFPSの到来です。まさに正攻法のSF系アクション物で、DOOM3エンジンを元にしているというだけあって雰囲気的にはそのDOOM3とほぼ同じですが、改良型ということでさらに魅力的な内容になっています。

ストーリー的には突然やてきた宇宙船に連れ込まれてしまい、邪悪なエイリアンたちの獲物(prey)となりそうになりながらも何とか戦い抜いていくという分かりやすいもので、時には見方の力を借りたり励まされたりしながら進んでいきます。しかしFPSにしてはやや雰囲気が重厚で、しかもストーリーそのものは結構泣けるお話しになっている点が特筆に値すると思います。あんまりこういうゲームって無かったと思いますし、その点ではペインキラーに通じるものがあるかもしれませんが、そうした悲劇性がFPSとしてのアクション性や爽快感とうまくバランスを保っているので、さり気なくではありつつもかなりの力作と言っていいでしょう。ここ最近のものではDOOM3、QUAKE4と並ぶ傑作と呼べる出来だと思います。

ゲームを起動すると、最初にまず状況説明のためのムービーが始まりますが、これは程なくしてプレイヤーの視点に受け継がれ、そのままプレイを開始することになります。その場面がこれで、目の前の大きな鏡に映しだされたプレイヤー自身の姿が何と、そう、松崎しげるその人なのです。

これにはさすがに驚きました。随分いろんなゲームをプレイしてきたつもりでしたが、今までにこんな経験をしたことはありませんでしたから。確かに個性的なキャラクターというものには困らないくらいいろいろなのが出てきましたし、時には有名人に故意に似せたと思われるキャラクターが出現して、大いに活躍するという展開もまあ少なくもないものですが、しかしここまで似ていると、さすがに意識してしまいますし、何とも奇妙なプレイ感と言えるかもしれません。

そんな訳で2ちゃんのFPS板(PCアクション)でも早々に「松崎しげる」スレが立てられ、ゲーム内容や攻略法などの話題はそっちのけで、その名の通りしげるネタで大いに盛り上がっていた次第です。それにそもそもネット界で松崎しげるがこれほど話題になったことがあったでしょうか。30代以上くらいの人ならまず誰でも知っている有名人だと思いますが、確かに最近はあまり頻繁に見かけることもなくなっていたので、その意味でも貴重な体験が出来たかもしれません。

偶然にもプレイ中にテレビ出演していた本物の松崎しげる氏。そういえばiPodのオンラインストアが日本で開始された頃にも、松崎しげるの代表作「愛のメモリー」がトップになったとかで話題になったことがありました。あれはバグが原因だったとの話しも聞きましたが、なんか縁があるようで無いようで、不思議な人に思えてきた気がします。

それはさておき、そろそろゲーム本来の話題に話しを絞っていくことにしましょう。

まず最初に、このPREYは最近のアクションゲームとしては難易度は低めです。慣れている人なら簡単すぎると思うでしょうし、実際そうした感想を多く見かけました。しかし私なら、これくらいで丁度いいのではないかと思います。特にPC用のゲームとしては、気分転換なり気晴らし程度に楽しめるレベルとして絶妙なバランス感が保たれていると言えるほどです。

それはシューティング部分でもそうですが、それと同時にマップを進んでいく際の謎解きの場面でも言えることです。「この先に進むためにはどうしたらいいか」が頻繁に出てくるものですが、その場合の解決方法が比較的分りやすく、さほど慣れていないような人でも少し考えれば、あるいはしばらくして再びプレイしてみれば、ふと思いついて突破できる程度の水準を狙うことができたと思います。

もちろんそうしたゲームバランスには賛否両論だと思いますが、やたら難しいゲームも少なくない中で、この程度の難易度に絞った本作品はむしろ少数派に近い存在ですし、その英断は高く評価されてもいいくらいだと思います。

デモ版はそれなりにボリュームがあって十分満足できるものになっています。後半で重力ロードを歩く場面も出てきますし、好きな人なら即購入を決意するだけの説得力はあるでしょう。またそうでない人なら見送っても致し方ありません。シューティングとしての要素は控えめで、どちらかというとストーリー性重視のアドベンチュー作品に近い感じのようですし、撃ち合いの爽快感にも程遠いことも合わせると、やや個性がはっきりしている内容になっていると思います。

これが重力ロード(WalkWalk)。この光っている道が実はそのまま歩けるということに気付くと先に進めます。もちろん歩いていくと視界が逆さになったり横になったりとかなりの違和感があり、ドゥーム酔い(3D酔い)とはまた一味違った気持ち悪さを体感していただけることでしょう。

ゲーム自体の難易度が抑え目なこともあり、FPSに慣れている人なら数日でエンディングに到達できると思いますが、それでもボリューム的な満足感は十分得られるものと思います。つまりSF物がお好きなら購入して損はありません。ただストーリー重視系でもあるためか、リプレイ性が低いことも事実です。特にパズル的な部分はちょっと面倒で、もう一度取り組もうという気にはなりにくいのではないでしょうか。

マップの雰囲気がドゥーム3(DOOM3)に似ているのは仕方ないところですが、それでも狭さと広さをうまく配置していて、名作アンリアル(UNREAL)を思わせるバランス感覚の良さが感じられます。中盤からはUFOみたいな飛行物体にも乗れて戦えますし、どこでもドアのように空間移動できるポイントとかもあって飽きさせません。

あとプレイヤーが討ち死にしてもゲームオーバーになることなく復活できるので、緊張感がないという意見はあるものの、しかしこの手のゲームに不慣れだったり、苦手意識のある人にもある程度考慮されていると考えていいと思います。それと最近流行りの自動難易度設定で、何度も死んでいると難易度が落ちてきて簡単になってくるのも今風です。これに関しては初期設定で変更することもできるので、一度じっくり設定し直しておいてもいいでしょう。

これといった難所はないと思いますが、時々足止めをさせられるパズル性のある場面はこの手のゲームの宿命と思って我慢して下さい。それでも「こんなの攻略本を買わないと絶対無理だ、分るはずない」というほど理不尽な仕掛けはなく、少し悩んでいればそのうち思いつくような程度のものなのでご安心を。

しいて難を言うとすれば武器でしょうか。まず種類が少ないことと、FPSらしいスカッとするような軽快なものや、何でも爆はできるような豪快な破壊力とか、さらにはどこから持ってきたのか分らない一種独特の悪趣味な武器など、後々まで語り口になるような個性が今一つといった感じもします。もちろんSFベースということで非現実的な架空の武器揃いではあるのですが、これがちょっと何というか、ある意味でバイオ兵器みたいなのが多くて好みの分かれる感じです。

そのあたりはともかくとして、全体的には概ね納得できる水準の作品ですし、DOOM3、QUAKE4とプレイした人、特にシングルにこだわる人ならなおさらですが、できればついでに押さえておきたくなる系統のゲームといっていいでしょう。ただしマシンスペックの要求も必然的にそれなりのレベルなので、本当に自分の環境で動くのかを確認する意味でもとりあえずデモをお試しいただいた方がいいと思います。それなりに楽しめるボリュームになっています。






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4Gamer
http://www.4gamer.net/news.php?url=/news/history/2005.05/20050523173331detail.html

■動作環境
OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上)
CPU:Pentium 4/2GHz以上[2.50GHz以上推奨]
メインメモリ:512MB以上「1GB以上推奨」
グラフィックスメモリ:64MB以上

★PCゲームレビュー★
 遅れて登場した「Quake」キラー 11年の歳月を経てようやく公開!! 「Prey」 *詳細なレビューです

公式HP http://www.2kgames.com/prey/


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