Quake4

待望のQuake4が2005年に発売されました。QuakeにはDOS時代の初代Quake(1995)と続くQuake2(1996)を経て、マルチプレイに特化したQUAKE III ARENA(2000)がありましたが、シングルプレイしかやらない私にとってQ3は全く意味がなく、その後はUnrealシリーズとともに忘れられていたようなものでした。しかし一昨年のDOOM3のリリースに続き今回このQUAKE 4の開発が伝えられてくると、やはりどうしても期待してしまいます。とはいえ一応待望とは書いたものの、下手に期待してまたPOSTAL2のように肩透かしというか期待外れに終わるのも残念ですし、DOOM3が私的にはそれなりに納得できる水準だったことを考えると、せめてこの程度の満足感は得られることを望みつつ、しかしあまり関心を持たないようにもしていました。しかし百聞は一見に如かずで、そうした懸念も実際にプレイしてみれば簡単に結果を知ることができるものです。

結論から言えば、Quake4は私的にはDOOM3以上に満足できる内容でした。というよりDOOM3での不満が一気に解消されたような気にさえなりました。まずその一つとして、DOOM3では面倒臭かったライトと武器との持ち替えですが、この点は武器が限られているとはいうもののライト付きで武器が持てるようになったので、とりあえず随分まともな感じになったと思います。さらにエンジンが改良されたのかDOOM3よりも軽くなった感じで、フリーズはもちろん、敵が多くなると露骨にカクカクするような箇所も少なく、体感的には少なからずストレスが軽減されたように思います。

ゲーム性というかシステムについてですが、これもDOOM3と同様に直感的で分かりやすく、難易度も比較的低めになっているようで、それほどアクションゲームに慣れていない人でも楽しめるのではないでしょうか。最近のゲームはやたら難易度が高かったり、あとパズル的な仕組みがある面が用意されていたりと、必ずしも「軽快」にプレイできるものばかりではありません。私が特に嫌いなのは、よく三段跳びみたいに何かの障害をくぐり抜けて通らなくてはならないような場面で、確かにそうした「難しさ」もあってもいいかとは思いますが、しかしそこで挫折する可能性もあります。繰り返し何度でも、何時間でもトライし続ける根気のあるユーザーなら突破した時の感動も味わえますが、何度かやってみてだめな場合は、そこでもう嫌になってしまうというユーザーも少なからずいるはずです。特にそこまでのプレイがさほどおもしろい作品ではなかった場合、それ以上の無理をしてまで先に進みたいと思わなくなるというのも人情です。そんなゲームが私にもかなりありました。

このQuake4にも弱冠ですが、そうした障害突破型のマップは存在しています。しかしその難易度はかなり低い方だと思いますし、少なくともパズル的な謎解きを必要とするような要素はありません。シューティングの難易度も常識的な範囲内ですし、もちろんゲームの設定で難易度のレベルを選択することができます。さらにどこでもできるクイックセーブ(F5)もあり、動作も軽快なのでさほどストレスなく頻繁にセーブできるようになっています。難しい所でもこのクイックセーブを多用することによって、その気になれば何とか突破できる確立は高めに見積もられているといえるでしょうし、開発者側から見れば、これで精一杯の環境を提供し、誠意を見せていると思います。

それとFPSでも多くなってきた「英語が分らないと解決できない問題」がないのもいい好感が持てます。日本の代理店が何とあのライブドアというのが驚きですが、やはりどの道日本語化する気はないようですし、こうした問題は何も日本に限らず英語を母国語としない全ての国で起こりうる実情でもあります。また子どもがプレイすることを想定した内容ではないものと思いますが、それでも本編や途中のムービーで使われている英語や会話は比較的理解しやすいものですし、字幕こそ出ないもののある程度の知識があれば理解も容易なレベルだと思います。

英語もそうですが、最近のゲームと同じくQuake4にも最初にプレイを開始する際の冒頭部分をはじめ、所々にムービーによるストーリー進行が用意されています。しかしこうした小芝居がまた何ともイライラするものなのですが、それでもQuake4の場合はそれなりに楽しめるものも少なくなかったように感じました。中でもプレイヤー(自分)が敵に捕らえられ、ベルトコンベアに乗せられて機械化手術を受ける場面は実に悪趣味なもの(上の3枚)。映画でも滅多にないようなシーンですし、夢に見るような残像感の残る後味の悪さが特筆です。しかしグラフィックを駆使して完全なムービーとして作り上げている、例えばPainkillerのような作品の中のものと違い、こちらはやや荒めの画質でクオリティーは低いものになっています。しかしそのおかげでゲーム中との画質の違いによる違和感がなくなりますし、何より「あまりリアルでない方がいい」ようなムービーも多いので、これはこれで賢明な処置と言えるかもしれません。

全体的なデザインもQuake1.2を連想させるものが生かされていますし、DOOM3にも負けない不気味さと薄気味悪さでは期待に十分応えてくれる出来だと思います。音楽も緊張感があって演奏も美しく、効果音類も妥当でバランスよくまとまっている感じです。マップの構成も次第に難易度が高まっていく流れに無理がありませんし、閉鎖的だったDOOM3に比べると屋外でのシーンも程よく用意されているため、最近多くなっている乗り物に乗っての戦闘シーンも含め、飽きないように工夫されている感じが伝わってきます。またQuake4では仲間によるチームプレイのシーンも多く、それによってかなり助けてもらえるようになっているのも助かります。もちろん腕に自信があれば自ら真っ先に乗り込んでいって、敵を全滅させる気合いで臨むこともできるでしょう。反対に全面的に任せて隠れて行くという手もあるのですが、しかしその仲間がヘルスを補給してくれるという仕組みになっている場面も多いため、先に死なれてしまうと自分が困るという整合性まで考えられています。まあこのあたりは現在のゲームでは当たり前なのでしょうけど、Painkillerでも相変わらず壁に向かって撃ちまくっている敵がいたことを思えば、Quake4の方は今のところ理解に苦しむというほどの欠陥は見られないと思います。

Quake4に過度な期待を抑制していたのは、今思えばDOOM3の影響ではなく、それより前に出ていたReturn to Castle Wolfenstein(2002)だったのかもしれません。あればあれでまあ「全く新しい別のもの」と捉えればいいのでしょうけれど、しかしWolfensteinというとどうしても初代Wolfenstein3Dと比べてしまうのはやむなきこと。あの軽快さ、直進的な前進志向がReturn to Castle Wolfensteinでは上手く生かされることがなく、逆に重たくて暗い内容になってしまったように思います。それに比べればDOOM3はまあまあ理解できる内容でしたし、今回のQuake4はようやくリメイクらしいリメイクの完成形を見た思いです。しかしそこからさらに発展すると、「この次は何だろう」という素朴な疑問も沸き上がってきます。Wolfenstein、DOOM、そしてQuakeですから、次はUnrealという訳にもいかないでしょうし、どうなるのでしょうか。ちなみに開発はこれらFPS時代を切り開いてきたid Softで、今後の展開にはこれで大いに期待が持てることとなりました。もちろんこの先にQUAKE III ARENAのオチが待っている危険も十分考えられますが、しかし少なくとも今回だけは良い意味でその予感が覆されたというだけでも意味のある作品だったと思います。


Link

Quake4のWiki (http://inukai.ne.jp/quake4/) Demo情報など

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